夏 動物

磨硝子に守宮来ぬ夜のつづきをり

(すりがらすに やもりこぬよの つづきおり) 『蒼海』22号 堀本裕樹主宰 選 窓硝子を這う守宮を見ながら夕飯の食器を洗うことが多いのですが、姿を見せない夜は「どうしたのかな」と心配になります。

神前へ鮎運ばるる日照雨かな

(しんぜんへ あゆはこばるる そばえかな) 角川俳句2023年10月号掲載句令和俳壇 雑詠 成田一子先生 佳作防府天満宮の金鮎祭をイメージしました。

火取虫流しの水を拭き取りぬ

(ひとりむし ながしのみずを ふきとりぬ) ふらんす堂通信 177号うづら集 兼題「水」 西村麒麟先生 選 今号から西村麒麟さんが選者です🦒

集金の去りぎは金魚寄つて来し

(しゅうきんの さりぎわきんぎょ よってきし) 『蒼海』18号 堀本裕樹主宰 選 この句を作ったとき、自治会の班長をしておりまして。自治会費を集金しにとある家を訪ねた際、玄関先の鉢の金魚がぱくぱくと寄ってきたという実景句です。

生命線窪ませ小蜘蛛放ちけり

(せいめいせん くぼませこぐも はなちけり) 『蒼海』14号 堀本裕樹主宰 選 家の座敷に小さい蜘蛛がよく出没するのですが、殺すには忍びなく、そっと掌に包んで玄関先に逃がしてやります。

金魚漂ふ待合室の片隅に

(きんぎょただよう まちあいしつの かたすみに) ふらんす堂通信 169号花実集 雑詠 髙田正子先生 選 備忘録へのUPを忘れていました。なので今頃夏の句(汗)

寝返りて畳の端の蟻光る

(ねがえりて たたみのはしの ありひかる) NHK俳句 令和3年5月放送応募句兼題:蟻岸本尚毅先生 選 佳作 今年は虫の兼題が多く、なかなか難関です。

夏蝶のとまり一木目覚めたる

(なつちょうのとまり いちぼくめざめたる) 『蒼海』10号 堀本裕樹主宰 選 思い出のお気に入り句のリメイクでした。

蘭鋳に餌遣る今朝の仮眠室

(らんちゅうに えさやるけさの かみんしつ)NHK松山放送局 ラジオまどんな句会 2020.8.24(月)兼題:朝神野紗希さん選 特選 作句にあたっての紗希先生からのメッセージは、「今回は、俳句甲子園の決勝戦の兼題に挑戦してみましょう。季語ではなく「朝」と…

満充電されぬ体や蛇の殻

(まんじゅうでん されぬからだや へびのから) 角川俳句2020年9月号掲載句令和俳壇 雑詠 五十嵐秀彦先生選 佳作 久しぶりに令和俳壇に投句しました。スポット(?)投句みたいなものです。1時間で5句作り、投句葉書を埋めて即投函してみました。一句のみ掲載(…

鰹の目なほも蒼海うつしけり

(かつおのめ なおもそうかい うつしけり) NHK俳句さく咲く!令和2年5月放送応募句兼題:鰹櫂未知子先生 選 佳作 久しぶりの櫂先生選。まさかこちらの句を採っていただけるとは思わなかったのですが(自信をもって投句できていないのがいやはやなんとも情け…

夕日ごとすくひあげたる金魚かな

(ゆうひごと すくいあげたる きんぎょかな) NHKラジオ 文芸選評 令和2年5月23日放送応募句 兼題:金魚野口る理さん 選 今年度から内容ががらりと変わり、俳句と短歌が毎週交互に放送されるようになりました。俳句は月2回、週ごとに選者が変わります。文芸…

夕暮れの鉄棒くるり草かげろふ

(ゆうぐれの てつぼうくるり くさかげろう) 『蒼海』6号 堀本裕樹主宰 選 夏の朝、窓を開けると網戸に見たことのない虫がとまっていました。レース模様のような透き通る羽をもつ緑色の虫。調べると草蜻蛉のようでした。その姿は儚げですが、意外に悪臭を放…

雨叩く葉に空蝉の揺れもせず

(あめたたく はにうつせみの ゆれもせず) ふらんす堂通信 162号花実集 雑詠 髙田正子先生 選 窓から夕立の庭を眺めていたときの景です。最初は「揺れてをり」としていたのですが、蝉の抜け殻がしかと葉裏についている感じを出したほうがよいかと逆の表現に…

青鷺やひとりぼつちの下校どき

(あおさぎや ひとりぼっちの げこうどき) 俳句界2019年6月号応募句俳句トーナメント堀本裕樹先生 選 佳作 久しぶりのトーナメント選でした。近所を散歩中、よく鷺に出会います。いきなり出くわしてお互いに吃驚します。

ほたる手にはにかんでゐる転校生

(ほたるてにはにかんでいる てんこうせい) 俳句界2019年6月号応募句雑詠山尾玉藻先生 選 秀逸茨木和生先生 選 佳作 ラジオまどんなの兼題「蛍」の没句を作り直しました。没句供養できました。

竹筒の酒さらさらと鱧料理

(たけづつの さけさらさらと はもりょうり) NHK俳句 令和元年7月放送応募句兼題:鱧井上弘美先生 選 佳作 鱧。食べる機会は少ないですが、淡路島産の玉ねぎと一緒に煮こんだ鱧すき鍋をいただいたときの感動はいまだ忘れられません。アラの旨味と玉葱の甘み…

湯屋のまえ星のゆあんとひきがへる

(ゆやのまえ ほしのゆあんと ひきがえる)俳句ポスト365(第218回 2019年4月4日週の兼題:蟇)夏井いつき先生 選 人選 ひきがへるは漢字でもよかったかな。少し前から『湯屋』という言葉が気に入っていて時々使ってしまいます。二句人選に採ってもらえて嬉…

臍の緒を岸辺につなぐ蟇

(へそのおを きしべにつなぐ ひきがえる)俳句ポスト365(第218回 2019年4月4日週の兼題:蟇)夏井いつき先生 選 人選 『トノサマガエル アマガエル カエルにいろいろあるけれど...♪』ということで、蛙という季語も春の蛙、夏の雨蛙・青蛙、河鹿(かじか)…

蛍火を一粒もらふ真珠婚

(ほたるびを ひとつぶもらう しんじゅこん)NHK松山放送局 ラジオまどんな句会 2019.6.3(月)兼題:蛍神野紗希さん選 紗希先生からの蛍を詠むときのポイントは、 蛍は、はかない命や恋の象徴として和歌に詠み継がれてきた、伝統的な季語です。蛍の背負う重…

喪帰りのバス待つベンチ夏燕

(もがえりの バスまつベンチ なつつばめ) 『蒼海』2号 堀本裕樹主宰 選。

踝のたしかに蛇とすれ違ふ

(くるぶしの たしかにへびと すれちがう) NHK松山放送局 ラジオまどんな句会 2018.8.20(月)兼題:蛇神野紗希さん選 今回は、ことしの俳句甲子園(去る8月19日開催)の兼題にもなっていた、「草笛」、「蛇」、「胡瓜」、「滴り」からの俳句募集でした。こ…

雨蛙遠くで遊ぶ牛もゐて

(あまがえる とおくであそぶ うしもいて) NHK俳句 平成30年5月放送応募句 兼題:雨蛙宇多喜代子先生 選 佳作 投句時に牛は『べこ』と読ませていたのですが、テキスト掲載時にルビが振られていなかったので却下されたのかと...。『うし』にしておきました。

老鶯や週末だけのパン工房

(ろうおうや しゅうまつだけの パンこうぼう) 俳句ポスト365(第194回 2018年4月19日週の兼題:老鶯)夏井いつき先生 選 人選 第145回兼題『蜜柑の花』から投句を始め、この『老鶯』で50兼題皆勤賞です。もちろん天地入選はありませんが、おかげさまで50回…

吾子にも蝸牛の子にも水の匂ひ

(わがこにも かぎゅうのこにも みずのにおい) NHK松山放送局 ラジオまどんな句会 2018.6.4(月)兼題:かたつむり神野紗希さん選 ラジオまどんなへは初めての投句。そして意外にも初めて『蝸牛』で作句しました。難しかった。さすがにみなさんお上手な句ば…

競り人の長靴真白初鰹

(せりにんの ながぐつましろ はつがつお) 俳句ポスト365(第193回 2018年4月5日週の兼題:初鰹)夏井いつき先生 選 人選 18句投句したうちの1句です。自分なりに『ちょっと頑張った』句もいくつかあったのですが、没。でも妙な観念句でない、こういうスト…

はたかれてまわる地球儀昼の蟻

(はたかれて まわるちきゅうぎ ひるのあり) 俳句ポスト365(第192回 2018年3月22日週の兼題:蟻)夏井いつき先生 選 人選 14句投句しました。相変わらず打率の悪いことです(汗)でも、気負いのないこの句を選んでいただいて嬉しいです。

こゝろにもさざ波ふはり金魚かな

(こころにも さざなみふわり きんぎょかな) NHK俳句さく咲く!平成29年7月放送応募句兼題:金魚櫂未知子先生 選 佳作

雨粒を受けて羽ばたく朝の火蛾

(あまつぶを うけてはばたく あさのひが)NHK俳句 平成29年5月放送応募句兼題:蛾高柳克弘先生 選 佳作新年度になってからの初めての佳作が嬉しい。4月、5月とNHK俳句への投句をサボってしまったことを反省しています。

てんたう虫は赤き天球さう思ふ

(てんとうむしは あかきてんきゅう そうおもう)堀本裕樹先生 第78回いるか句会 兼題:天道虫 平成29年5月20日(土)開催 於:NATULUCK四ツ谷 3F 1点