三夏

恋宿る薄き胸なり夏の雨

(こいやどる うすきむねなり なつのあめ) ふらんす堂通信 181号うづら集 兼題「雨」 西村麒麟先生 選

氷菓売る夜の東京タワー背に

(ひょうかうる よるのとうきょうタワー せに) 『蒼海』22号 堀本裕樹主宰 選 東京スカイツリーのライティングがアイスキャンディーのような色合いだったのを見て。音数の都合で東京タワーに変えました。

磨硝子に守宮来ぬ夜のつづきをり

(すりがらすに やもりこぬよの つづきおり) 『蒼海』22号 堀本裕樹主宰 選 窓硝子を這う守宮を見ながら夕飯の食器を洗うことが多いのですが、姿を見せない夜は「どうしたのかな」と心配になります。

神前へ鮎運ばるる日照雨かな

(しんぜんへ あゆはこばるる そばえかな) 角川俳句2023年10月号掲載句令和俳壇 雑詠 成田一子先生 佳作防府天満宮の金鮎祭をイメージしました。

噴水に街の歳月ありにけり

(ふんすいに まちのさいげつ ありにけり) ふらんす堂通信 177号うづら集 雑詠 西村麒麟先生 選 今号は5句中3句掲載でした。実景を通して実感を詠んだ句で、シンプルな作りが自分でも気に入っています。クローズドの句会で割と評価をいただけたのですが、な…

学会やカンカン帽の師が来たる

(がっかいや カンカンぼうの しがきたる) ふらんす堂通信 177号うづら集 雑詠 西村麒麟先生 選 学会風景。実際は「ハンチング帽」の師でした! カンカン帽は夏帽子の傍題です。

火取虫流しの水を拭き取りぬ

(ひとりむし ながしのみずを ふきとりぬ) ふらんす堂通信 177号うづら集 兼題「水」 西村麒麟先生 選 今号から西村麒麟さんが選者です🦒

集金の去りぎは金魚寄つて来し

(しゅうきんの さりぎわきんぎょ よってきし) 『蒼海』18号 堀本裕樹主宰 選 この句を作ったとき、自治会の班長をしておりまして。自治会費を集金しにとある家を訪ねた際、玄関先の鉢の金魚がぱくぱくと寄ってきたという実景句です。

遅れ来て扇子せつせと使ひをる

(おくれきて せんすせっせと つかいおる) 『蒼海』18号 堀本裕樹主宰 選 私が超暑がり💦で、どこに行っても扇子をぱたぱたしているので、そんなところから作ってみた句でした。

船降りて祭の団扇すぐもらふ

(ふねおりて まつりのうちわ すぐもらう) 『蒼海』18号 堀本裕樹主宰 選 初案は「渡船降り祭の団扇もらひけり」。「上五が若干説明的。下五の"けり"で格調の高い句にしても悪くはないが、この句は滑稽味が欲しい」と主宰よりアドバイスをいただきました。…

夏木立少女の手話に鳥応ふ

(なつこだち しょうじょのしゅわに とりこたう) 『蒼海』18号 堀本裕樹主宰 選 初案では季語を「夏木蔭」としていました。句会で主宰より「木蔭にすると暗くて手話がよく見えないのでは?もっと遠景で詠んだ方がよい」とアドバイスをいただき、下五を含め…

妊孕の火照りなるもの夏の月

(にんようの ほてりなるもの なつのつき) 角川俳句2022年11月号掲載句令和俳壇 雑詠 成田一子先生選 佳作 今年二回目の投句。来年は令和俳壇への投句も再開できればいいなと思います。