直進車のひつきりなしに街路炎ゆ

(ちょくしんしゃの ひっきりなしに がいろもゆ)

『蒼海』2号 堀本裕樹主宰 選

夏から母の通院の付き添いが始まりました。
交差点で右折したいのに直進車がなかなか途切れず、
真夏の日差しがぎらぎらと照りつける、そんな街を詠んだ実景句でした。

炎ゆは「灼く」の傍題。
真夏の太陽の直射によってまさに焼け付くような暑さとなること。
海岸の砂浜などは裸足で歩くことができないほどの熱さとなり、
アスファルトの道路は足がめりこむほどに熱せられる(角川書店編 俳句歳時記 夏)。

朝刊のひんやりとして鵙のこゑ

(ちょうかんの ひんやりとして もずのこえ)

NHK俳句 平成30年11月放送応募句

兼題:鵙
宇多喜代子先生 選 特選・三席

今年2回目のNHK俳句入選でした。
夏料理』に続き、三席にも選んでいただいて驚いています。
「縦書きしたときの字の美しさがよかった」と放送を観てくれた友人が言ってくれたのがとても嬉しかったです。

選者の講評を引用します。

鵙の鳴き声が耳に届く時期の「ひんやり」を朝刊を通して感じた。冬のひんやりではなく、新聞を手にしたときにふっと伝わった気配のような「ひんやり」である。

宇多先生、ありがとうございました。