秋 生活

亡骸を埋めて虫籠しまひけり

(なきがらを うめてむしかご しまいけり) 『蒼海』23号 堀本裕樹主宰 選 倉庫の整理をしていたら、奥の方から子どもの頃使っていた虫かごが出てきました。プラスチック製の緑色のやつ。懐かしい。

父の墓ひとり洗うて十年かな

(ちちのはか ひとりあらって ととせかな) 『蒼海』23号 堀本裕樹主宰 選 ここ数年、足の悪くなった母を連れての墓参りが難しいときがあり、私が一人でお参りするようになりました。墓洗ふという季語を分解した、やや変則的な使い方です。

栗飯を膝に離郷の夜行バス

(くりめしを ひざにりきょうの やこうバス) 『蒼海』19号 堀本裕樹主宰 選 秋はどうしても郷愁の句になってしまう。

聖書閉ぢ小さき秋灯のみ点す

(せいしょとじ ちさきしゅうとう のみともす) 『蒼海』19号 堀本裕樹主宰 選 聖書を読み終えて天井灯を消し、手元、枕元の小さな灯りのみを点ける。そして心にぽっと灯るもの。そんなイメージの句です。

宙に指止めて秋思のタイピスト

(ちゅうにゆび とめてしゅうしの タイピスト) ふらんす堂通信 170号花実集 雑詠 髙田正子先生 選 遠い昔の秘書時代の自分を詠んでみました。今号は5句中3句掲載でした。

抱へゆく枝豆花束のごとく

(かかえゆく えだまめはなたばの ごとく) NHK俳句 令和3年8月放送応募句兼題:枝豆櫂未知子先生 選 佳作 枝豆も考えれば考えるほど類想になってしまいました(汗)

「新豆腐できました」てふ女文字

(「しんどうふできました」ちょう おんなもじ) ふらんす堂通信 162号花実集 雑詠 髙田正子先生 選 初めて寄ったお店で豆腐を買って帰った日のこと。新豆腐以外のものでも成立する句ですね(汗) 162号は五句中二句掲載でした。三句掲載を目指します!

枝豆の湯切りの音や雨あがる

(えだまめの ゆきりのおとや あめあがる) 俳句界2019年7月号応募句雑詠鈴木しげを先生 選 佳作西池冬扇先生 選 佳作山尾玉藻先生 選 佳作 句材に困ったときに作る食べもの即興句でした(笑)複数選に入って嬉しいです。

踊下駄カツンとひとつ鳴らしけり

(おどりげた カツンとひとつ ならしけり) NHK俳句さく咲く!令和元年8月放送応募句兼題:踊堀本裕樹先生 選 佳作 踊は毎年どこかで兼題として出され、私には苦手意識が強い兼題です。そのうえこのごろは投句数を減らし、「もしなんとか選んでいただけるの…

まあ坊と呼ばれし兄や勝角力

(まぁぼうと よばれしあにや かちずもう)一句一遊 兼題:坊夏井いつき先生 選 2018.10.16 火曜日放送 久しぶりの一句一遊への投句。火曜日登場でした。プレバト風に言うと、火曜日は凡人です(笑)まぁ坊は私の兄の小さいときの呼び名。相撲はとりません。放…

千枚の踊浴衣をどんと置く

千枚の踊浴衣をどんと置く (せんまいの おどりゆかたを どんとおく)俳句ポスト365(第199回 2018年6月28日週の兼題:踊)夏井いつき先生 選 人選 投句後、「どんと」は「どかと」のほうがよかったかなと...。 踊 秋の季語。盆踊のことなので、バレエやフラ…

豊年や夕映え渡る飛行船

(ほうねんや ゆうばえわたる ひこうせん) 俳句界2017年10月号応募句俳句トーナメント堀本裕樹先生 選 佳作

熱々の蕎麦湯注ぎ足し秋風鈴

(あつあつの そばゆつぎたし あきふうりん) 俳句界2017年8月号応募句兼題:「足」高橋将夫先生 選 佳作能村研三先生 選 佳作

菊膾揃ひの箸の艶めけり

(きくなます そろいのはしの つやめけり)俳句界9月号応募句雑詠今瀬剛一先生 選 秀逸辻桃子先生 選 佳作雑詠、兼題、トーナメントで計7句投句。4句とって戴き、自分でも思いも寄らぬ句がまさかの秀逸でした。トーナメントは上位句ではありませんが、初めて…

蘆刈のしなりを腋に受け容れり

(あしかりの しなりをわきに うけいれり)俳句ポスト365(第156回 2016年9月15日週の兼題:蘆刈)に投句し、並選にとっていただきました。計5句を投句。