失恋の四十九日の良夜かな

(しつれんの しじゅうくにちの りょうやかな)

『蒼海』6号 堀本裕樹主宰 選

私のなかで結社誌に恋の句を投句するのは珍しいことかもしれません。まぁ失恋供養の句ですが(汗) 『失恋』という直接的な表現がどうかな?と自信なさげの句でしたが、採ってもらえて嬉しいです。

6号は10句中7句掲載という成績。植物の季語ばかりだった前号に比べると、少し幅が広がったでしょうか。ただ自分なりに欠点というか今後の課題はわかっているつもりです。

駆け足短文の結社誌投句成績報告ですが、よろしかったらおつきあいください(^^)

俯せの骸の鴉灼かれたり

(うつぶせの むくろのからす やかれたり)

『蒼海』6号 堀本裕樹主宰 選

実景です。炎天下、道端に動かぬ一羽の鴉が居て、近寄るとそれはすでに亡骸(なきがら)でした。その姿は両腕を広げた黒いキリストが真夏の太陽にじりじりと灼かれているかのようでした。

この句で初めて主宰の推薦三十句に入りました。ありがとうございました。

夕暮れの鉄棒くるり草かげろふ

(ゆうぐれの てつぼうくるり くさかげろう)

『蒼海』6号 堀本裕樹主宰 選

夏の朝、窓を開けると網戸に見たことのない虫がとまっていました。レース模様のような透き通る羽をもつ緑色の虫。調べると草蜻蛉のようでした。その姿は儚げですが、意外に悪臭を放つとか。

 月に飛び月の色なり草かげろふ 中村草田男

新しい机を入れて貝風鈴

(あたらしい つくえをいれて かいふうりん)

『蒼海』6号 堀本裕樹主宰 選

退院後の母を迎え入れるために一部屋片付け、新しくしました。
夏らしい貝風鈴の音色とともに。

薔薇の香の泡たて母の髪洗ふ

(ばらのかの あわたてははの かみあらう)

『蒼海』6号 堀本裕樹主宰 選

退院後しばらく母の髪を洗ってあげていました。
病院のベッドの上で父の髪を洗い、そして今度は母の髪を洗い、そんな日が自分にも来るものなのですね。