秋 天文

奥の間の僧の亡骸雨月なる

(おくのまの そうのなきがら うげつなる) 『蒼海』19号 堀本裕樹主宰 選 お盆の法要でお寺にいったとき、前日に前住職(私が通っていた保育園の当時の園長先生)が亡くなられたと聞き、帰り際にご遺体の安置されている部屋に案内していただき、お別れをさ…

台風の匂ひ来る夜をカミュひらく 

(たいふうの においくるよを カミュひらく) 『蒼海』15号 堀本裕樹主宰 選

夕月やシュートの手首やはらかく

(ゆうづきや シュートのてくび やはらかく) 『蒼海』15号 堀本裕樹主宰 選 向かいの家の高校生が帰宅後、庭に設置されたバスケットゴールに向かって毎日シュート練習をしている姿を詠みました。

露けしや胸のクルスを枕辺に

(つゆけしや むねのクルスを まくらべに) 『蒼海』11号 堀本裕樹主宰 選 高校時代に若いシスターから十字架をいただいた。小指の爪ほどの小さな小さな十字架でした。

秋風に吹くオカリナの木目かな

(あきかぜに ふくオカリナの もくめかな) 『蒼海』11号 堀本裕樹主宰 選 とはいえ、オカリナは陶器のものが一般的でしょうか。

青梨をもぎ来しごとき月夜かな

(あおなしを もぎきしごとき つきよかな) ふらんす堂通信 166号花実集 雑詠 髙田正子先生 特選 特選をいただきました(涙)どちらへ投句しようか迷った句でしたが、花実集にしてよかったです。以下、髙田先生からいただいた選評です。ありがとうございました…

手品師の金貨消えたる良夜かな

(てじなしの きんかきえたる りょうやかな)第21回 NHK全国俳句大会高柳克弘先生選 秀作 今回が二度目の全国大会挑戦でした。去年は一次選考止まりでしたが、今年はなんと秀作入賞!その次の二次選考で入賞となると、12月16日までに文書が届くことになって…

失恋の四十九日の良夜かな

(しつれんの しじゅうくにちの りょうやかな) 『蒼海』6号 堀本裕樹主宰 選 私のなかで結社誌に恋の句を投句するのは珍しいことかもしれません。まぁ失恋供養の句ですが(汗) 『失恋』という直接的な表現がどうかな?と自信なさげの句でしたが、採ってもら…

洗面の朝の湖畔や霧走る

(せんめんの あさのこはんや きりはしる)NHK松山放送局 ラジオまどんな句会 2019.9.5(木)兼題:霧神野紗希さん選 秋の季語『霧』。今年の俳句甲子園の決勝リーグの兼題でした。紗希先生からのメッセージは、「世界をおおいかくしてしまう霧。その不安を…

船頭の棹ゆつたりと霧の中 

(せんどうの さおゆったりと きりのなか)俳句界2018年10月号応募句雑詠辻桃子先生 選 佳作能村研三先生 選 佳作 水郷柳川の川下りでどんこ舟に乗ったときのことを膨らませて(そんなに膨らんでいないか...)詠んでみました。この景を詠むのは二度目。

新しうなりし母の眸秋の星

(あたらしうなりし ははのめ あきのほし) 『蒼海』2号 堀本裕樹主宰 選。 今夏、体調を崩すことの多かった母ですが、予定していた白内障の手術も無事受けられました。 結社誌2号は10句中7句掲載という成績でした。大満足です。ただ、「秋の星」という季語…

餌やりて卵のぬくし秋の風

(えさやりて たまごのぬくし あきのかぜ) NHK俳句 平成30年10月放送応募句 兼題:秋風岸本尚毅先生 選 佳作 久しぶりの岸本選が嬉しいです。秋風は、俳句を始めてまだ間もない頃(といっても句歴3年未満ですが)、『俳句さく咲く!』で特選に入った記念す…

蛇口より百滴目落ち無月なり

(じゃぐちより ひゃってきめおち むげつなり)俳句ポスト365(第202回 2018年8月9日の兼題:無月)夏井いつき先生 選 人選 無月とは、単にあいにくの曇り空で月が見えないことではなく、旧暦八月十五日の夜の月が見えないことです。今年の中秋の名月(9月24…

鰯雲暮しの手帖買ふ日かな

(いわしぐも くらしのてちょう かうひかな)俳句ポスト365(第200回 2018年7月12日週の兼題:鰯雲)夏井いつき先生 選 地選 初めての地選です。2016年4月の兼題「蜜柑の花」からここまで56兼題。この日は天・地選の発表直後、俳句仲間のツイッターのつぶや…

鰯雲の間にひとつ星潤む

(いわしぐもの あはいにひとつ ほしうるむ)俳句ポスト365(第200回 2018年7月12日週の兼題:鰯雲)夏井いつき先生 選 人選 夜中の2時か3時頃、ベランダに出たときの実景です。夜の鰯雲もいいかなと思いまして。

黄金の月よ滅びのジパングよ

(おうごんのつきよ ほろびのジパングよ)一句一遊 兼題:ジ夏井いつき先生 選 2018.8.12 水曜日放送 このあと、一句一遊への投句をお休みしております。でも早く復帰したい。

銀漢へ影絵の指の羽ばたけり

(ぎんかんへ かげえのゆびの はばたけり) 俳句界2017年10月号応募句兼題:「指」岸本マチ子先生 選 秀作高橋将夫先生 選 佳作 俳句界の兼題では初めての「秀作」です✨高橋先生も佳作の1番目でしたので、こちらも秀作まであと一歩だったのかも。(ちなみに…

銀色の指貫はづし星月夜

(ぎんいろの ゆびぬきはずし ほしづきよ) 俳句界2017年10月号応募句兼題:「指」大高霧海先生 選 佳作

玄関へ迎へ入れたる風は秋

(げんかんへ むかえいれたる かぜはあき) 俳句界2017年9月号応募句兼題:「関」高橋将夫先生 選 佳作

菊日和甘味処に人あふれ

(きくびより かんみどころに ひとあふれ) 俳句ポスト365(第176回 2017年7月13日週の兼題:菊日和)夏井いつき先生 選 並選 計7句を投句。

カンバスの余白に満つる秋日濃し

(かんばすの よはくにみつる あきびこし)俳句界9月号応募句兼題:「白」大高霧海先生 選 佳作

秋の風海の蒼さの戻りけり

(あきのかぜ うみのあおさの もどりけり)NHK俳句さく咲く!平成28年10月放送応募句 兼題:秋風 小島健先生 選 入選小島先生ありがとうございました。10月23日の放送で紹介していただきました。12月号テキストに掲載されるそう。選評をいただけるといいな。…

船頭の竿より出づる秋の風

(せんどうの さおよりいづる あきのかぜ)伊吹嶺会 坪野洋子 先生 【添削句】船頭の棹の先より秋の風 「竿」は「棹」とする。提出時に「秋の風」を「川の風」と入力ミスし、無季の句を送ってしまった。

天高き雲間より鳥飛び出せり

(てんたかき くもまよりとり とびだせり)伊吹嶺会 坪野洋子 先生 【添削句】雲間より礫のごとき渡り鳥 「天高し」は「秋高し」の副季語で澄み渡った秋の空の広々とした感じを指す言葉。よって、原句の季語の「天高き」は不適切である可能性がある。添削句…