立春や助役のスピーチに涙

(りっしゅんや じょやくのスピーチに なみだ)
NHK松山放送局 ラジオまどんな句会 2019.2.4(月)
兼題:立春
神野紗希さん選

立春で詠むときのポイントは、『昨日と変わらない風景も立春と聞いただけで輝き出す。言葉の力で日常が光り出す。(立春とは)そういう季語だと思います。春が来た喜びを感じさせつつ、いかにも春らしいというよりは自分の見つけた春がそこにでてくるといいかなと思います』だそうです。

以下、放送中にいただいた選評の文字起こしです(黄色が神野さん、灰色がパーソナリティの岡田さん)

ええ会社やのぉと...(笑)。助役がもし嫌な人だったら、涙できないですよね。なんか春が来るって本当に嬉しくて特別なことだから、こうやって素直にスピーチ涙したよって言えるのが素敵だなと思いました。

なんかこう背筋が伸びるような俳句が多かったですよね。

今回はなんと鶏侍さん→瑠璃甫さん→檸檬の順で続けて読み上げられるという快挙!
選評では「会社」と仰っていますが、私のなかでは村役場の助役さんという設定でした。3人でノルマを課している「村句(村の字を入れるか村を連想させる句)」でしたが、今回も素敵な鑑賞をいただいて嬉しいです。紗希先生ありがとうございました。

アルマイトの蒸し器ほくほく天使祭

アルマイトの むしきほくほく てんしさい)

俳句界2018年10月号応募句
俳句トーナメント
堀本裕樹先生 選 佳作

天使祭という季語には『守護の天使の記念日』という長い傍題もあります。
10月2日。カトリックの記念日で、一人ひとりの天使を祝うのではなく、すべての天使をまとめて祝う日(講談社 カラー版 新日本大歳時記 秋より)。
例句 星の間に枝伸ばす樹々天使祭  木場田秀俊

あまりみたことのない季語を使ってみたかったのです。

船頭の棹ゆつたりと霧の中 

(せんどうの さおゆったりと きりのなか)
俳句界2018年10月号応募句
雑詠
辻桃子先生 選 佳作
能村研三先生 選 佳作

水郷柳川の川下りでどんこ舟に乗ったときのことを膨らませて(そんなに膨らんでいないか...)詠んでみました。
この景を詠むのは二度目。

寒鮃しづかに今を濡れてをり

(かんびらめ しづかにいまを ぬれており)
俳句ポスト365(第210回 2018年11月29日週の兼題:鮃)
夏井いつき先生 選 人選

鮃の黒い背中をじっと見ながら(もちろんネットの画像)詠みました。
自分でも気に入っている句ですが(「今を」のあたり)、拙句に素敵な鑑賞をしてくださっている方がおられるの知り、嬉しくなりました。ありがとうございました。

寒鮃捌くあはひの水の音

(かんびらめ さばくあわいの みずのおと)
俳句ポスト365(第210回 2018年11月29日週の兼題:鮃)
夏井いつき先生 選 人選

鮃を捌いている板前さんの手元を見ながら(もちろんネットの動画)詠みました。
魚は食べるのは好きだけど詠むのは難しい。

大小の船の過ぎゆく日短

(だいしょうの ふねのすぎゆく ひみじか)

NHK俳句 平成30年12月放送応募句

兼題:短日
宇多喜代子先生 選 佳作

下五の日短(ひみじか)は四音で字足らずになりますが、「ひ」と「み」のあいだに「い」に近い音を入れて、「ひぃみじか」と五音で読むことができます。