（ぶどうはむ デスクトップに まよのうみ）
NHKラジオ 文芸選評 令和2年9月12日放送応募句
兼題：葡萄
神野紗希さん 選 今週のイチオシ作品
NHK文芸選評も以前ほど投句できていないのですが、紗希先生の放送回で読み上げてもらいました。
以下、放送中の選評の書き起こしです。
紗希先生）真夜というのは真実の夜と書いて、要するに深夜ということですね、思いっきり夜、その夜に葡萄を食べています。その葡萄を食べているときにパソコンのデスクトップには真夜中の海がしんしんと映っていますよという句です。
なんていうか、こう静かな句ですよね。葡萄の黒い、たぶんこれ黒葡萄だと思うんですけど、黒い色、葡萄のもつ瑞々しさから海を想像して、黒い艶めきから夜を引き出して葡萄と真夜の海をぐいっと結びつけた、非常にダイナミックな一句でした。石井アナ）デスクトップという現代社会の道具と真夜の海という割と詩的な夜を表現する言葉が結びつく、しかもその中心になっているのが葡萄を食べている風景だというところのこの取り合わせがすごい意外性があって面白いですよね。
紗希先生）こういうことはありえそうなんですけど、じゃあそれに気づいて俳句に詠むかというとそこのところで大きな飛躍があって、日常の中に潜む美をしっかりとみつけてくださった一句でしたね。
放送中に選者が15句、石井アナが5句程度選句され、その中から番組の最後に今週のイチオシ作品が発表されるのですが、そのときにちょうど地震速報が入り、発表されないまま放送が終了しました。
なので2020.12月号のテキストを見てびっくりです！
紗希先生、ありがとうございました。
