細棹の三味線買うて初時雨

(ほそざおの しゃみせんこうて はつしぐれ)

『蒼海』3号 堀本裕樹主宰 選

初時雨。その冬、はじめて降る時雨である。「初」には華やぎがある。ことしも生きていて会うことができたという喜びが含まれている。「時雨」には閑寂味がある。伝統的に生きることのはかなさを重ねて読まれることが多かった。その二つが相接するところに、微妙な味わいが生まれる(講談社 新日本大歳時記 冬より)。

拙句にも微妙な味わいがありますでしょうか...。

爽やかにももいろの杖歌舞伎座へ

(さわやかに ももいろのつえ かぶきざへ)

『蒼海』3号 堀本裕樹主宰 選

この頃、母にピンクの杖を買ってあげたのでした。
少しでも気持ちも活動の範囲も広がるといいなと思って。

爽やか。傍題は爽涼、さやけし、さやか。
秋の清々しさをいう。大気が澄み、万物が晴れやかにはっきり見え、心身もさっぱりする(角川書店編 俳句歳時記 秋より)。

遅れ来る手紙のやうに柏散る

(おくれくる てがみのように かしわちる)
俳句ポスト365(第214回 2019年2月7日週の兼題:柏落葉)
夏井いつき先生 選 人選

最近は複数句投句して自分でも「この句かな?」と思う句を採っていただいています。
二句人選でした。組長ありがとうございました。

かふかふと柏落葉の道ゆけり

(かふかふと かしわおちばの みちゆけり)
俳句ポスト365(第214回 2019年2月7日週の兼題:柏落葉)
夏井いつき先生 選 人選

「かふかふ」は自分でも気に入っています。ふかふかでなくてかふかふ。
柏は枯れても枝についたたま冬を越し、翌年の仲春頃になって落葉となるそうです。
言われてみればそうですが...。難しい兼題でした。

煮魚の白身のほろり年の宿

にざかなの しろみのほろり としのやど)

俳句界2018年12月号応募句
目からウロコの!俳句添削教室
長嶺千晶先生 選 合格句

この頃、食の細くなった母に白身のお魚を煮付けてあげていたのでした。

年の宿。年越しの夜を過ごす家、あるいは宿のこと。

ザビエル祭母校の便り届くころ

(ザビエルさい ぼこうのたより とどくころ)

俳句界2018年12月号応募句
俳句トーナメント
堀本裕樹先生 選 佳作

我が母校のことそのままです(笑)
我が主宰に採っていただいて嬉しいです。

季語は「聖ザビエルの日」。傍題に「聖フランシスコ=ザビエル司祭の祝日」、「ザビエルの祝日」、「聖ザビエル祭」があります。12月3日、フランシスコ・ザビエルが永眠した日、カトリックの祝日です。

乳母車ザビエル祭の鐘へ押す  有馬ひろこ