無花果に触れて指紋の薄れてく

(いちじくに ふれてしもんの うすれてく)
俳句ポスト365(第203回 2018年8月23日週の兼題:無花果
夏井いつき先生 選 人選

私もすぐに手が痒くなりやすいタイプなのですが、
無花果の白い汁はタンパク質分解酵素・フィシンというもの。
食後のデザートとして食べればフィシンが消化を促進してくれるそうです。
(参考:毎日気になる日々のこと

ねぎらひのやうな日差しや秋祭

(ねぎらいの ようなひざしや あきまつり)
NHK松山放送局 ラジオまどんな句会 2018.10.1(月)
兼題:秋祭
神野紗希さん選 特選

詠むときのポイントは、『秋祭といえば、みこしやはっぴなどお祭りらしいもののイメージが浮かぶので、そこにいかに自分なりのイメージを加えるかがポイントです。全国各地の地域性が出るのも秋祭の季語の醍醐味です』だそうです。

単純に祭というと夏の季語。
夏の祭は都市の神社の夏祭という感じ。夏に疫病が流行ることが多かったので怨霊退散が目的。浴衣で夜店のイメージ。
秋祭は収穫の行事で、収穫に感謝して稲刈りのあとに皆で集まってにぎやかに行う。つまり村祭や里祭。朝の暗いうちから出て、昼間にお神輿を担いでまわり、夜にはお酒を飲んだりと一日を使うイメージ。地域性に根ざしたものが多い。農業だけでなく、豊漁に感謝する浦祭もあります。
ちなみに春祭は豊作を願うお祭りです。

その意味を踏まえた上で作句するのは本当に難しかった。

以下、放送中にいただいた選評です。

このねぎらいというのがいいですね。日差しが私たちをねぎらってくれているようだ。秋祭ってどうしてもその一日に焦点が置かれがちですが、ねぎらいという言葉が入るだけで一日だけでなく、これまでの一年の苦労が偲ばれることになって、とても大きな句になりました。


この投句から俳号が平林檸檬になりました。

天窓の小さき空より星涼し

(てんまどの ちさきそらより ほしすずし)

俳句界2018年6月号応募句
雑詠
稲畑廣太郎先生 選 秀逸
能村研三先生 選 佳作

今号は7句中4句掲載。うち一句が秀逸。
自分でもあまり出来の良くない投句内容だったと思うので上出来です。
秀逸選では中七が『小さき窓より』と表記されており、
朱が入ったのか誤植なのかが不明です。

星涼し。夏は高原や海岸で星空を仰ぐ機会も多く、ひとときの涼味を感じる。夏の星の傍題。旱星とも(角川書店編 俳句歳時記 夏)。
素敵な季語でしょ?

新宿の夏の夕べの酒場かな

(しんじゅくの なつのゆうべの さかばかな)

俳句界2018年6月号応募句
雑詠
大串   章先生 選 佳作
田島和生先生 選 佳作

5月下旬に仕事のイベントと句会で東京に行った際、夕方から新宿に繰り出したときのことを詠みました。
新宿三丁目池林房

梅雨晴の砂場にできる山いくつ

(つゆばれの すなばにできる やまいくつ)

俳句界2018年6月号応募句
兼題:「砂」
高橋将夫先生 選 佳作

NHK俳句で岸本尚毅先生が下五を「〇〇いくつ」に添削されたのを見て以来、
いつか自分も使ってみようと思っていたのでした。

梅雨晴は五月晴、梅雨晴間とも。梅雨の最中に晴れ上がること。