すつきりと鼻とほりたる梅見かな

(すっきりと はなとおりたる うめみかな)

NHK俳句さく咲く!平成30年2月放送応募句
兼題:梅見
櫂未知子先生 選 佳作

この兼題の締め切りの頃は忙しくて、『なんとか投句した感』がありありなのですが、自分ではちょっと変わった句を採ってもらえたのが嬉しいです。
ほかの選者の先生では没句が続いております。

手折られて薇きゆうと鳴きゐたり

(たおられて ぜんまいきゅうと なきいたり)

俳句ポスト365(第188回 2018年1月25日週の兼題:薇)
夏井いつき先生 選 人選

このごろ安定の人選。なんて言ってると全没の闇に落ちそうです。

しかし、12句投句して1句のみ人選という効率の悪さよ...。
前回の「しゃぼん玉」で採っていただいた句と今回の句から考えると、俳ポではこういう、少し不思議系(?)の句を期待されているのかもしれません。
その人の上達度にあわせて選句してくださっているようなことを前におっしゃっていたかも。

しやぼん玉巴里の小径で生まれたの

(しゃぼんだま パリのこみちで うまれたの)

俳句ポスト365(第187回 2018年1月11日週の兼題:しゃぼん玉)
夏井いつき先生 選 人選

一見与しやすそうで、実際作句してみると難しい兼題でした。

池田 澄子さんの代表句『じゃんけんで負けて螢に生まれたの』に少し似ていますか。

便箋をゆつくり開き寒卵

びんせんを ゆっくりひらき かんたまご)

俳句界2017年11月号応募句
雑詠
櫂未知子先生 選 特選
今瀬剛一先生 選 佳作
角川春樹先生 選 佳作

俳句界で初めての特選に!ありがとうございました。
選評を引用します。

「寒卵」は何かと取り合わせるのが難しい季語である。しかし、この句は届いた手紙を「ゆつくり開」くことで、新しき出来事を迎える心持を描くのに成功した。気負わぬ美しさのある作品である。

寒卵は冬の季語。鶏卵は完全食品に近く、特に寒中のものは栄養豊富で、生で食べるのが良いとされる。昔は珍重された。

今の時代、冬の卵に滋養があるなんて特別思わないのであまりピンとこないところも正直あったのですが、いつか使ってみたい季語のひとつでした。

室咲や待合室の消灯す

(むろざきや まちあいしつの しょうとうす)

NHK俳句さく咲く!平成30年1月放送応募句
兼題:室咲
櫂未知子先生 選 佳作


室咲とは、春に咲く花を温室の中で促成栽培をして咲かせたもの。シクラメンが代表的である。

室咲と聞いてもピンときませんでした。
兼題で出会わなければ、この季語で作句することはなかったかもしれません。
ある程度小さな空間での景になり、室咲と病院、病室を取り合わせると類想句になるかなと覚悟しておりました。待合室なら駅舎やバスターミナルの風景にもとれる?
句に余韻を持たせたつもりです。