蘭鋳に餌遣る今朝の仮眠室

(らんちゅうに えさやるけさの かみんしつ)
NHK松山放送局 ラジオまどんな句会 2020.8.24(月)
兼題:朝
神野紗希さん選 特選

作句にあたっての紗希先生からのメッセージは、「今回は、俳句甲子園の決勝戦の兼題に挑戦してみましょう。季語ではなく「朝」という漢字一字を詠みこんでください。そのまま「朝起きて」などとmorningの意味で使ってもかまいませんし、「明朝体」「南北朝」など「朝」の字の入った熟語を探して詠んでもかまいません。季節は春夏秋冬いつでもOKです。漢字一字からどんな風に世界を広げるか、想像をめぐらせてみてください。」でした。

以下、紗希先生からいただいた選評の文字起こしです。

いろんなお仕事の場所で仮眠室というのはあると思うんですけど、その仮眠室に蘭鋳、金魚の、あのちょっとぼこぼことした頭をもっている立派な金魚ですね、水槽が置いてあって、蘭鋳に餌をあげて仮眠をとるのか、仮眠から覚めて(餌を)あげているのかわからないんですけど、どうなのかな、蘭鋳のある仮眠室って眠れそうにないというか(笑)、蘭鋳の圧が強い感じがして(笑)、そのあくの強さっていうのかな、それが仮眠室という場所の眠りの浅さとか大変さとかいうのを象徴しているような気もして、非常に現実的なことを詠んでいるはずなんだけれど、ちょっと感覚的なものも呼び覚まされるという一句でした。

久しぶりの特選5句でした!選評にもあったように、「仮眠室に蘭鋳はありかな?なしかな? 水槽が置いてあるにしてももっと小型の普通の金魚だよね...」と自分でも思いながらの作句でしたが、紗希先生のありがたい『神』鑑賞で拙句に不思議な厚みが加わりました。ありがとうございました。

ラジオまどんなblog → 8月24日(月)放送後