シスターの手籠にのぞく寒卵

(シスターの てかごにのぞく かんたまご)

NHKラジオ 文芸選評 令和2年1月放送応募句

兼題:寒卵
西村和子先生 選 入選

初めての入選でラジオの放送中に読み上げていただきました(涙)
カトリックの学校に通っていてよかったです(涙)
西村先生の選評を一部書き起こしました。

いいですねぇ。シスターですから修道院の産物を売りに来てるのかな。手籠ですからそれほど大きな笊とかそういうものではなくて、ちょっと腕にかけているような...。それで「のぞく」というのがとても効果的だと思うのですが、卵ですからそこに布を敷いたり被せたりしてるんでしょうねぇ。そこからちょっと寒卵がのぞいている。これは心ひかれますよね。修道院の産物というのはクッキーにしても何にしても手作りで非常に手がかかって思いを込めて作られているという感じがするじゃないですか。修道院には鶏が飼われていて。これちょっと変わってる句でしたね。シスターの手籠に「のぞいている」という、うーん、なんかちょっと違う味わいのある寒卵で、西洋風の味わいみたいな、ですね。お近くに修道院があるのかもしれないですね。栄養たっぷりの卵を売っているんだろうな、とか。まぁ、売ってはいないかもしれないけど、運んでいるときにちらっと見たのかもしれないですね。とても心ひかれる句でした。

入選句はNHK俳句テキストのほかにNHKウイークリーステラにも掲載されるとのことで、(立ち読みしに)書店へ行ったのですが、週が変わったあとで掲載号はすでになく取り寄せていただくことになりました。フィギュアの羽生選手が表紙の号で、店員さんには羽生ファンだとしっかり思われました(笑)

寒卵は以前に俳句界で櫂未知子先生に特選をいただいたことがあり、なんとなく思い入れのある季語です。
 便箋をゆつくり開き寒卵 檸檬