春 植物

父の背を起こし窓辺の飛花落花

(ちちのせを おこしまどべの ひからっか) 『蒼海』21号 堀本裕樹主宰 選 初案は<背を起こし病窓の飛花落花かな>でしたが、句会に出した際、「自分で背を起こしたのか人に起こしてもらったのかが曖昧」と主宰からご指摘をいただき、再考した句です。なの…

豆の花娘夫婦と暮らし初む

(まめのはな むすめふうふと くらしそむ) 『蒼海』21号 堀本裕樹主宰 選 ご近所の方が昨年から娘さん夫婦と同居されることになり、一緒に家庭菜園などされている姿を見て作った句です。以前にスナップエンドウをいただいたことがあり、それがとても美味し…

フライパンにバター泡立つ春子かな

(フライパンに バターあわだつ はるごかな) 『蒼海』21号 堀本裕樹主宰 選 春子(はるご)は春の椎茸。新版 角川大歳時記 春によると、「秋椎茸は色・香りが強いのに対し、春椎茸は色も香りもほのかで肉質がやわらかい」のだそうです。

ほろほろと花ひとひらのとこしなへ

(ほろほろと はなひとひらの とこしなえ) 『蒼海』17号 堀本裕樹主宰 選 俳句をはじめ詩歌で花といえば桜の花。 「とこしなえ」は、ながく変わらないさま。永久不変であるさま。いつまでも同じ状態で続くさま。永久。

絵筆より光さらさらたんぽぽ黄

(えふでより ひかりさらさら たんぽぽき) ふらんす堂通信 172号花実集 雑詠 髙田正子先生 選 今号は5句中2句掲載でした。

単身の朝桜夕桜かな

(たんしんの あさざくら ゆうざくらかな) ふらんす堂通信 172号花実集 兼題「桜」 髙田正子先生 選

数Ⅰと表紙に書くやスイートピー

(すういちと ひょうしにかくや スイートピー) 『蒼海』13号 堀本裕樹主宰 選 これも昔を思い出して...。

アネモネの風に折れしを飾りたり

(アネモネの かぜにおれしを かざりたり) 『蒼海』13号 堀本裕樹主宰 選 自分でも気に入っている句です。

荷をほどきあとなにもせず花月夜

(にをほどき あとなにもせず はなづきよ) 『蒼海』13号 堀本裕樹主宰 選 花月夜。月と桜の花が美しい夜。 チチポポと鼓打たうよ花月夜 松本たかし

たんぽぽや財布の鈴に猫じやれて

(たんぽぽや さいふのすずに ねこじゃれて) ふらんす堂通信 168号花実集 雑詠 髙田正子先生 選

下萌やあんがい狭き生家跡

(したもえや あんがいせまき せいかあと) NHK俳句 令和3年2月放送応募句兼題:下萌西村和子先生 選 佳作 実は今年度、西村先生選はここまで全没でした(嬉)

ピアス揺れ風に見上ぐる藤の花

(ピアスゆれ かぜにみあぐる ふじのはな) 『蒼海』9号 堀本裕樹主宰 選 実景です。いつも通りかかる道に昭和30年代?40年代?のお宅があります。もう誰も住んでおられないのかなと思いますが、手入れのされていない藤の木が大きく育っていて、風が吹くたび…

沈丁や蕎麦屋そろそろ開店す

(じんちょうや そばやそろそろ かいてんす) ふらんす堂通信 164号花実集 雑詠 髙田正子先生 選 近所の旅館がランチタイムにおそば屋さんとして営業されていて、その通りに咲く沈丁花の香りに足を止めました。

干傘のふくらんでゆく梅日和

(ほしがさの ふくらんでゆく うめびより) ふらんす堂通信 164号花実集 雑詠 髙田正子先生 選 前日の雨で濡れた傘を庭に干していて思いついた句でした。

みどりごの爪よく伸びて桜の芽

(みどりごの つめよくのびて さくらのめ) NHK俳句さく咲く!令和2年3月放送応募句兼題:木の芽堀本裕樹先生 選 佳作 今年度最後のNHK俳句テキスト掲載句でした。年間を通じて全選者全兼題への投句は達成しましたが、成績は...。NHK俳句はしばらくお休みに…

蒲公英や兵士の墓碑に短き詩

(たんぽぽや へいしのぼひに みじかきし)NHK松山放送局 ラジオまどんな句会 2020.4.6(月)兼題:たんぽぽ神野紗希さん選 最も良かった一句 作句にあたっての紗希先生からのメッセージは、「春の野や道端を彩るたんぽぽ。ぽっと心を灯す明るさを詠むか。踏…

夏蜜柑剥くのが好きで世話焼きで

(なつみかん むくのがすきで せわずきで) 『蒼海』5号 堀本裕樹主宰 選 母の療養に絡めての句作が続いて恐縮ですが、去年から食が細くなってしまった母。何か少しでも口にできるものはないかと、好物の果物を買ってきてはせっせと剥いてあげる日々が続きま…

連翹や庭に光の集まり来

(れんぎょうや にわにひかりの あつまりく) 俳句界2019年3月号応募句雑詠角川春樹先生 選 佳作古賀雪江先生 選 佳作 桜の頃、桜の少し前かな、散歩で通りがかるお宅の庭に連翹がありまして、見るたびにその黄の眩しさを愛でていたのでした。 そして、山口…

藤房のひとつひとつの影ゆるる

(ふじふさの ひとつひとつの かげゆるる) 角川俳句2019年7月号掲載句令和俳壇 雑詠 嶋田麻紀先生選 佳作 岩岡中正先生選 佳作 星野髙士先生選 佳作 以前に岸本尚毅先生の埋字で採っていただいたことはあるのですが、題詠/雑詠は令和俳壇になってから投句し…

一片の片道切符さくらちる

(いっぺんの かたみちきっぷ さくらちる) NHK俳句 平成31年4月放送応募句兼題:落花井上弘美先生 選 佳作 今年度最初のNHK俳句の入選句発表です。 『落花』は一物仕立てでも取り合わせでも比較的与しやすい季語ではないかと思いましたが、例句を読んでいる…

薺咲く牛乳瓶に挿されゐて

(なずなさく ぎゅうにゅうびんに さされいて) 俳句界2019年1月号応募句雑詠加古宗也先生 選 佳作古賀雪江先生 選 佳作佐藤麻績先生 選 佳作夏石番矢先生 選 佳作 薺の花はぺんぺん草。それを牛乳瓶に挿すとはなんたるビンボーテイスト!なので四名もの選者に採っ…

サイネリア金糸雀の音は檸檬色

(サイネリア かなりやのねは れもんいろ)俳句ポスト365(第215回 2019年2月21日週の兼題:サイネリア)夏井いつき先生 選 人選 今回は思い切り自選を外しての二句人選でした。組長ありがとうございました。🍋をいれておきました(笑)

サイネリアこの人のためだけに哭く

(サイネリア このひとのためだけに なく)俳句ポスト365(第215回 2019年2月21日週の兼題:サイネリア)夏井いつき先生 選 人選 シネラリア。サイネリアはシの音が死に通じるとして忌み嫌っての言い換え。 いろんな品種があって可愛いお花🌼

まだ知らぬ町の桜の中に立つ

(まだしらぬ まちのさくらの なかにたつ)NHK松山放送局 ラジオまどんな句会 2019.4.1(月)兼題:桜神野紗希さん選 特選 作句にあたっての紗希先生からのメッセージは、『長い詩歌の歴史の中で詠みつがれてきた王道の季語です。だからこそ、過去の桜のイメ…

遅れ来る手紙のやうに柏散る

(おくれくる てがみのように かしわちる)俳句ポスト365(第214回 2019年2月7日週の兼題:柏落葉)夏井いつき先生 選 人選 最近は複数句投句して自分でも「この句かな?」と思う句を採っていただいています。二句人選でした。組長ありがとうございました。

かふかふと柏落葉の道ゆけり

(かふかふと かしわおちばの みちゆけり)俳句ポスト365(第214回 2019年2月7日週の兼題:柏落葉)夏井いつき先生 選 人選 「かふかふ」は自分でも気に入っています。ふかふかでなくてかふかふ。柏は枯れても枝についたたま冬を越し、翌年の仲春頃になって…

ていれぎの花よ分校さようなら

俳句ポスト365(第213回 2019年1月24日週の兼題:ていれぎ)夏井いつき先生 選 人選 「里山の分校を離れることになった教師」というシチュエーションで。松山つながりで漱石に思いを馳せてみたりも。 ていれぎの例句は少ないんですよ。 ていれぎや弘法清水湧…

ていれぎの花咲くころやサボタージュ

(ていれぎの はなさくころや サボタージュ)俳句ポスト365(第213回 2019年1月24日週の兼題:ていれぎ)夏井いつき先生 選 人選 ていれぎ。仲春の季語。大葉種漬花(おおばたねつけばな)ともいう。清流に自生する美しい緑色の水草で松山市の指定天然記念物…

金星のまだ明るくて菠薐草

(きんせいの まだあかるくて ほうれんそう)俳句ポスト365(第212回 2019年1月10日週の兼題:菠薐草)夏井いつき先生 選 人選 元々、金星と他の素材を組み合わせていて、途中から菠薐草が加わって、なんとなくの流れで出来てしまった句です。なので句意をよ…

菠薐草たまごを握るやさしさで

(ほうれんそう たまごをにぎる やさしさで)俳句ポスト365(第212回 2019年1月10日週の兼題:菠薐草)夏井いつき先生 選 人選 ほうれん草を茹でて水を切るとき。どれくらいぎゅっと握ってよいのか、いまだに加減に悩みます。