夏 植物

雨の日の蛍袋の硝子めく

(あめのひの ほたるぶくろの がらすめく) 『蒼海』22号 堀本裕樹主宰 選 雨に濡れた植物を詠みたくて。

若葉風さつきと違ふ柄の猫

(わかばかぜ さっきとちがう がらのねこ) 『蒼海』22号 堀本裕樹主宰 選 近所に野良猫がどんどん増えて困っています。餌をやっている方がおられるようです。自分も猫好きなので黙認しておりますが...。

夏木立少女の手話に鳥応ふ

(なつこだち しょうじょのしゅわに とりこたう) 『蒼海』18号 堀本裕樹主宰 選 初案では季語を「夏木蔭」としていました。句会で主宰より「木蔭にすると暗くて手話がよく見えないのでは?もっと遠景で詠んだ方がよい」とアドバイスをいただき、下五を含め…

麦ひと穂旅の手帖にさつと描き

(むぎひとほ たびのてちょうに さっとかき) ふらんす堂通信 173号花実集 雑詠 髙田正子先生 選

口中に蕃茄日向の雨思ふ

(こうちゅうにとまと ひなたのあめおもう) 『蒼海』14号 堀本裕樹主宰 選 トマトの瑞々しさ。

枝の鳥跳ねて石火の百日紅

(えだのとり はねてせっかの さるすべり) 『蒼海』14号 堀本裕樹主宰 選 百日紅の木の傍を通りかかったとき、私の気配に鳥が驚いて飛び立ち、枝が揺れ、百日紅の赤い花びらがばらばらと散ったところを詠みました。14号の主宰推薦30句に選んでいただきまし…

産院の通用口の蔦青し

(さんいんの つうようぐちの つたあおし) 『蒼海』14号 堀本裕樹主宰 選 通院している産婦人科にて。

罌粟揺るるキリンが耳を澄ますとき

NHK俳句 令和3年5月放送応募句兼題:罌粟の花鴇田智哉先生 選 佳作 鴇田さんに初めて佳作をいただきました。嬉しい🦒

言ひさして女子校までの余花の道

(いいさして じょしこうまでの よかのみち) 『蒼海』9号 堀本裕樹主宰 選 自分のなんとなく不安定だった(?)女子高生時代を必死に思い出し、詠みました。余花は初夏の季語。五月病?

蔓薔薇や祖母の遺愛のティーセット

(つるばらや そぼのいあいの ティーセット) ふらんす堂通信 165号花実集 雑詠 髙田正子先生 選 よく通りかかるお宅がごく自然に薔薇を咲かせていらっしゃって素敵なお庭なのです。その日は庭のテーブルで奥さま方三人が楽しそうにお茶をされていました。

殿は向日葵抱いて野辺送

(しんがりは ひまわりだいて のべおくり) 『蒼海』6号 堀本裕樹主宰 選 向日葵の花が好きだった、向日葵の花のようだった人を偲んで...。

仙人掌の花冠や西に土星

(さぼてんの はなかんむりや にしにどせい) 『蒼海』5号 堀本裕樹主宰 選 夏の夜空に土星がみえるとしたら、深夜3時頃でしょうか。 5号は10句中7句掲載という成績でした。6句、7句をうろうろという感じです。改めてみると植物の季語ばかりで反省。自分で…

あぢさゐや往復書簡てふ形

(あじさいや おうふくしょかんちょう かたち) 『蒼海』5号 堀本裕樹主宰 選 当初、この句はあじさい以外の季語でした。春の季語の「鳥の恋」だったかな。投句時期が5月15日頃で、季節先取りで夏の季語を少し増やしたいなと、季語をチェンジしたように思い…

馥郁と白薔薇の風マリア像

(ふくいくと しろばらのかぜ マリアぞう) 『蒼海』5号 堀本裕樹主宰 選 「馥郁と」という措辞を使ってみたくて...からの作句です。そうしましたら、蒼海5号の対談が主宰×日下野由季さん×堀切克洋さんでびっくり!日下野さんの第二句集のタイトルが『馥郁』…

百合ひらく洗礼式の朝が来て

(ゆりひらく せんれいしきの あさがきて) 『蒼海』5号 堀本裕樹主宰 選 植えた覚えのないものが庭に咲くことって結構ありますよね。わが家も植えた覚えのない百合が勝手口のコンクリートの隙間に毎年咲いてくれます。

葉桜や菩提寺の風ふくらみぬ

(はざくらや ぼだいじのかぜ ふくらみぬ) 『蒼海』5号 堀本裕樹主宰 選葉桜の中の無数の空騒ぐ 篠原梵この頃、小澤實さん著の『名句の所以』を読んでおりました。俳句あるふぁ2019年春号に小澤さんと堀本主宰の対談記事があり、篠原梵の葉桜の句についての…

さくらんぼを食む子前髪みじかけれ

(さくらんぼを はむこまえがみ みじかけれ) 角川俳句2019年9月号掲載句令和俳壇 雑詠 対馬康子先生選 佳作 前号に続き対馬先生の選に入って感激です。チコちゃんを見て思いついた句でもないのですが(笑)、以前からさくらんぼで可愛い句を作ってみたいと思…

青胡桃古き詩集の話など

(あおくるみ ふるきししゅうの はなしなど) 俳句界2019年5月号応募句雑詠加古宗也先生 選 佳作佐藤麻績先生 選 佳作 季語を『青胡桃』にしようか『青林檎』にしようか悩みました。今月号は雑詠2句のみ。個人的に気に入っていた句はすべて没。相変わらずの…

広々と杜若ゆれ風生まる

(ひろびろと かきつばたゆれ かぜうまる) 俳句界2019年5月号応募句雑詠有馬朗人先生 選 佳作 地元のカキツバタ群生地。強い風雨に杜若が一枚の波のように揺れていました。

花合歓の糸電話より妻の声 

(はなねむの いとでんわより つまのこえ) 俳句界2019年4月号応募句兼題:「声」岸本マチ子先生 選 佳作 今号は苦手な兼題が二句とも佳作選で嬉しい。奇しくも、どちらの句も中七~下五にかけて「より○の声」という措辞になりました。 合歓の花はこんな花で…

玉葱や高層階に軒のなし

(たまねぎや こうそうかいに のきのなし) NHK俳句 平成31年6月放送応募句兼題:玉葱長嶋有先生 選 佳作 長嶋有選は初めてです。最終回までご縁がないのではないかと思っていました。嬉しいです。 『玉葱』は難しかった(『玉葱』も、ですね)。類句に陥る…

旅僧の触るる牡丹に月の色

(たびそうの ふるるぼたんに つきのいろ) NHK俳句さく咲く!令和元年5月放送応募句兼題:牡丹堀本裕樹先生 選 佳作 それなりに考えたのですが。はい、古臭い句です(汗) いつの時代の句かな(笑)堀本先生ありがとうございました。

罌粟坊主尻ポケットに日刊競馬

(けしぼうず しりポケットに にっかんけいば)俳句ポスト365(第219回 2019年4月18日週の兼題:罌粟坊主)夏井いつき先生 選 人選 罌粟坊主。罌粟の花の散ったあとの球形の実で、風に揺れる様がユーモラスであることから、罌粟坊主と親しみをこめて呼ぶ(俳…

薔薇を剪る人ゐて家庭裁判所

(ばらをきる ひといて かていさいばんしょ)第20回 NHK全国俳句大会第一次選考 入選 初めて応募しました。一次で拾ってくださった選者さんに心より感謝します!次はもう一段階上がれるよう頑張ります。 44,277句から第一選考通過9,045句。その上が特選、秀…

水色のタオル明るし鳳梨売

(みずいろの タオルあかるし ほうりうり) 『蒼海』2号 堀本裕樹主宰 選。 鳳梨はパイナップルのこと。パイナポー句は2作目です。(1作目はこちら)

美しく鳳梨を切つてくるる人

(うつくしく ほうりをきって くるるひと) 俳句界2018年7月号応募句雑詠櫂未知子先生 選 特選 ページをめくってびっくり!櫂先生に想いが届いて嬉しい。特選の一番目に名前があるのが嬉しい。このところ、NHK『俳句さく咲く!』への投句成績がふるわず、あ…

湖の翡翠色して余花明かり

(みずうみの ひすいいろして よかあかり) 俳句界2018年5月号応募句俳句トーナメント石井いさお先生 選 佳作堀本裕樹先生 選 佳作4ヵ月連続のトーナメント出場にはなりませんでしたが、満足。ここで採っていただけるのなら、結社誌に投句すればよかったかも…

夏草は夜に育ちて星に濡る

(なつくさは よるにそだちて ほしにぬる)俳句ポスト365(第198回 2018年6月14日週の兼題:夏草)夏井いつき先生 選 人選 シェイクスピア劇、ヘンリー五世の台詞、「Grew like the summer grass, fastest by night」からイメージして作りました。 この句も…

夏草や馬券かつたりはづれたり

(なつくさや ばけんかったり はづれたり)俳句ポスト365(第198回 2018年6月14日週の兼題:夏草)夏井いつき先生 選 人選 競馬経験ゼロですが、馬券という言葉で、兼題「風邪」以来二度目の人選でした。今回は嬉しいことに2句入選でした。

真夜の庭せり出してゐる白牡丹

(まよのにわ せりだしている はくぼたん) 俳句界2018年4月号応募句雑詠稲畑廣太郎先生 選 佳作