生きたしと手術前夜の暑さかな

(いきたしと しゅじゅつぜんやの あつさかな)

NHK俳句さく咲く!令和元年7月放送応募句
兼題:暑さ
堀本裕樹先生 選 佳作

こんな句もありでしょうか。母の手術の2日前が『暑さ』の投句締切日でした。元気になるための手術とはいえ、高齢の母にはそれなりの覚悟があったようでした。

久しぶりの主宰選。ありがとうございました。

竹筒の酒さらさらと鱧料理

(たけづつの さけさらさらと はもりょうり)

NHK俳句 令和元年7月放送応募句
兼題:鱧
井上弘美先生 選 佳作

鱧。食べる機会は少ないですが、淡路島産の玉ねぎと一緒に煮こんだ鱧すき鍋をいただいたときの感動はいまだ忘れられません。アラの旨味と玉葱の甘みが溶けだしたお出汁の美味しさ。どなたか食べに連れて行ってくれないかしら。お汁だけでいいから飲みたい(笑)

『鱧料理』を上五に置くか下五に置くか。『鱧料理竹筒の酒・・・』と冒頭、漢字表記が続くのが気になって下五にしましたが、句のリズムは上五に置くほうがよいのかもしれません。

今年度は投句数をめっきり減らしているので、時々佳作選をいただければラッキー✨です。

醤油屋の軒先揺るる蛍籠

(しょうゆやの のきさきゆるる ほたるかご)

ふらんす堂通信 161号
花実集 雑詠 髙田正子先生 選

県内に蛍籠飾りで町おこしをしている蛍の観賞地があり、そこからの作句です。投句したあとで、『単に蛍籠という季語の説明になっているかも...』と思いました。選にとっていただいて嬉しいです。

 ふりしきる雨となりけり蛍籠 久保田万太郎

夏野ゆく父子揃ひのスニーカー

(なつのゆく ちちこそろいの スニーカー)

ふらんす堂通信 161号
花実集 雑詠 髙田正子先生 選

花実集には兼題を含め五句投句できるのですが、そのうち一句は必ず掲載してもらえるそうです。今号は前回に続き二句掲載でした。次は前進できるといいな。

夏野で詠んだのはこれが初めてかも。もっと大きな景を詠めるようになりたい。

 たてよこに富士伸びてゐる夏野かな 桂信子

横たはる人骨やはらかい干潟

(よこたわるじんこつ やわらかいひがた)

角川俳句2019年8月号掲載句
令和俳壇 雑詠 対馬康子先生選 推薦

まさかまさかの『推薦』です。しかも対馬先生!
「過去全没の今井聖先生の選に入るのが当面の目標」と前回書きましたが、対馬先生も(地味句の)私にとっては高く厚き壁なのです。その対馬先生に採っていただけるなんて...。神様からのご褒美としか思えません(涙)

家のことでなかなか俳句に集中できず、このあたりの投句から『しばらく俳句を休もうかな』と思うようになりました。でもそのたびに、句友に励まされ、「句を思いつかないなら、普段作らないような冒険句を作って出しちゃえば?」と言われて作った句がこの句だったのです。なので句友の鶏侍さん、瑠璃甫さんには心から感謝しております。ありがとう(涙)

ちなみにこの頃、思うところあって、藤原新也さんの『メメント・モリ』を読み直していて、そんなときにできた句でした。
選者の対馬先生からはもったいない選評をいただきました。本人はここまで考えて作句できていません。俳句は「読む人がいてはじめて成立する文芸」ということを改めて実感しました。一生の記念になりました。ありがとうございました。

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シャンパンを冷やす女ら夏の川

シャンパンを ひやすおんなら なつのかげ)

角川俳句2019年8月号掲載句
令和俳壇 題詠「川」 夏井いつき先生選 秀逸

こちらもまさかまさかの夏井先生選の秀逸でした。
角川俳句は今年から定期購読しているのですが、届くのは早くても発売日の午後、今号に至っては発売日翌日の午後でして、先に本を手にしたお友達に結果を教えてもらいました。『吃驚仰天』とはまさにこのこと!

このまま角川俳句ビギナーズラックが続くといいな(笑)

短夜や北欧製の父の椅子

(みじかよや ほくおうせいの ちちのいす)

俳句界2019年4月号応募句
目からウロコの!俳句添削教室
長嶺千晶先生 選 合格句

久しぶりの、3回目の添削教室合格句です。嬉しい♪

昨年、『デーンマーク・デザイン展 ヒュゲのかたち』で素敵な椅子たちを観て以来、椅子で一句作りたいなと思っていたのでした。

美術館では実際に椅子に座れたのですよ(笑)

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